がんの手術や放射性治療を経験していて「最近むくみが一晩寝ても引かない」とか「腕や足が太くなってきた」などが気になる時は、もしかすると『リンパ浮腫』かもしれません。
リンパ浮腫はセルフケアによる治療が主流で、それは早めに始めるほど効果を発揮するそうです。
正しい診断が効果的な治療につながりますし、症状は適切な処置をすれば改善させる事ができます。
いちど自分の状態が分かれば、通院は経過をチェックする程度で、後はセルフケアが主になってきます。
医師や専門スタッフの指導を受けながら、4つの手段を状態に応じて組み合わせて行います。
弾性着衣・包帯の装着
まず むくんでしまった状態を元に戻すには、弾性包帯を巻いて集中的に「圧迫療法」をします。
むくみが取れてきたら、今度はこの状態を保つために弾性スリーブやストッキングに切り替えます。
「圧迫療法」とは、むくみのある部分に「圧」をかけながら日常動作や軽い運動をする事で、水分やたんぱく質がたまらないようにするものです。
圧によって筋肉のポンプ作用が高まり、リンパ液の流れを良くします。
軽い運動で「循環」を促進する
「運動療法」は、「圧迫療法」と平行してするとより効果的です。
弾性着衣・包帯で圧迫した状態で運動する事で、適度な圧迫と筋肉の収縮がリンパ管のポンプ機能を高めます。
手足を心臓よりも高い位置に持っていきブラブラさせるだけ、というのもアリです。
水中は水圧がかかるので、プールで水中ウォーキングするだけでもリンパの流れを促進する事ができます。
肥満は脂肪細胞が大きくなってリンパ管をつぶすため、肥満を避けるのも治療の一つですが、運動療法はその意味でも効果的です。
ただ、運動療法はリンパ液の循環を促すのが目的なので、疲れる程ハードに運動する必要はありません。
「リンパドレナージ」で直接流す
むくみが強いときや、皮膚や脂肪が硬くなっているとき、部分的なむくみには「リンパドレナージ」というのを行います。
「リンパドレナージ」というのは、いわゆる「マッサージ」とは違います。
マッサージは凝りをほぐすためにするために、力を入れて押したり揉んだりしますよね。
一方「リンパドレナージ」は、リンパの流れを促すのが目的なので「皮膚の表面をさする」というイメージです。
まずはむくみのある部分の流れを促す前に、鎖骨や腹部のマッサージをして刺激して、リンパ液を流す路を確保するという「前処置」を行います。
そして、方向的には鎖骨から脇、鼠径へと心臓から末端へと、近い方から遠い方へと順に流して行きます。
むくみが強い日は念入りに行ったり、逆に熱っぽいなどの違和感のあるときは炎症を悪化させないように休むなど、様子を見て判断する必要があります。
「リンパドレナージ」をした後で圧迫療法をすると、たまった水分やタンパク質が効率的にリンパ管へ戻ります。
自分でリンパドレナージをしたり、医療機関などに通うのがしんどい人には「リンパマッサージ器」というアイテムもあります。
接骨院などで実際に試せれば良し悪しが判断できそうですが、近所に無い場合は「体験コーナー」というのを利用する方法もあります。
メドマー体験コーナー
「スキンケア」などのプチ習慣を心がける
弾性着衣・包帯をしていると、お肌が乾燥してしまうので、保湿をする必要があります。
むくんだ所というのは皮膚のバリア機能が低下していて、炎症を起こしやすくなっています。
お肌は清潔を保ち、保湿は包帯をする前のタイミングでするのがポイントです。
小さな傷や虫刺されでもちゃんと手当して、保護しておくと安心です。
日常生活の心がけとしては、むくみのある腕や足を「心臓より少し高めに保つ」のがポイントです。
長時間おなじ姿勢を保つのを避けるとか、肥満に注意するというのは、リンパ浮腫に限らず、むくみ全般に共通する注意点です。